ダウン症とは?

はじめまして。2018年12月生まれのダウン症の息子を持つ父親です。
生後1ヶ月弱で彼がダウン症であることの告知を受け、その後とにかくまずはダウン症について知ろうと思い書籍を買い、ネットでもたくさんのブログ等で情報収集し、それらから得た知識や実際の育児を通して体験・経験したことを今度は発信していこうと思い立ち、息子が生後1−2ヶ月頃からこのブログを書き始めました。

ダウン症児を我が家に迎え入れた私の不安は、「ダウン症に対する無知」から生じるものでした。
実際に子育てをしていく中でしか知り得ないことももちろんたくさんありますが、まずはダウン症って一体どういうもので、どんな特性・特徴があって、どういったことに注意しながらダウン症児と向き合っていけば良いのか、少しでも知っていただき、私と同じような理由で不安を抱えるダウン症児育児が始まったばかりの親御さんにとって参考になる情報があれば幸いです。

ダウン症はどんな障がいなの?

まず、ダウン症って一体何なのか?についてまとめていきます。
正確には「ダウン症候群」と呼ばれ、発見者である『ジョン・ラングトン・H・ダウン博士』にちなんで名付けられた名称です。
このダウン症は生まれつきの障がいであるため、病気ではなく、治療により治るようなものではありません。

しょま君パパ
アップダウンのダウンの響きと一緒なので、何かしらが低い・下がっている という印象に捉えられがちですが、アップダウンのダウンではないです。

ダウン=知能が低い=知的障がいを持っているというイメージを持つ方も多いかもしれません。
確かにダウン症は知的障がいを伴うケースが多いとされていますが、その度合は個々人によって大きな差があり、重度の知的障がいであることもあれば、軽度の知的障がいであることもあり、中には大学まで進学しているダウン症の方の例もあります。
運転免許を取得して車の運転を日常的にされている方も、一人暮らしをされている方もいます。
ダウン症=できないことばかりで自立できない と決めつける必要はないわけです。
ただ、発達スピードがゆっくりであるため、できるようになるまでには時間がかかります。

次にダウン症者と健常者では何がどう違うのか、という点について。
人間の身体はたくさんの細胞が集まってできています。
その細胞の中には、子孫を残していくためのこれまたたくさんの遺伝情報が含まれており、それらは遺伝子と呼ばれます。
さらにその遺伝子たちが複数連なってらせん状になった構造のものが「染色体」です。
ダウン症の場合、この染色体に異常がある状態で生まれてきます。

ダウン症の種類は?

染色体異常は、具体的には3パターンに分けられます。

①21トリソミー
染色体は2本セットで1対になっているのが通常で、生き物によって何対あるのかが決まっています。
ヒトは2本セットで23対、合計46本であることが普通です。
この23対のうち、21番目の染色体が2本セットではなく3本セットになっていて、合計47本の染色体を持つダウン症のタイプが「21トリソミー」と呼ばれます。
ダウン症全体の9割がこの21トリソミーであるとされており、我が家のダウン症児しょま君もこのタイプのダウン症です。

②転座型
21番目の染色体が3本あり、かつその中の1本が他の染色体にくっついてしまっているタイプのことを「転座型」といいます。

③モザイク型
正常な46本の染色体と21トリソミーが混在しているタイプのことを「モザイク型」といいます。

ダウン症児の生まれる割合とその原因は?

ダウン症の子どもは、世界的にみるとおおよそ1000人に1人の割合で生まれるとされており、日本ではその割合が徐々に増えてきている上、今後さらに増える可能性があるようです。
その理由は晩婚化、出産時期の高齢化にあります。
出産する母親の年齢によってダウン症の子が生まれる確率に変化があり、30才の母親からダウン症児が生まれるのは1000人に1人ですが、出産する母親が40才の場合はダウン症の子が1000人に9人生まれるとされているからです。

このように書くと、母親が高齢な場合の卵子に染色体異常の原因があるのでは?(父親が高齢な場合の精子に原因があるのでは?)と考えられてしまうかもしれませんが、染色体異常が起こる原因は現在も明確になっておらず、突然変異的に起こるものとされています。
高齢出産だから必ずダウン症児が生まれるわけではないですし、若年期(例えば20代前半)の父母の夫婦のもとにダウン症児が生まれることもあるわけです。

ダウン症児を我が子に授かったお母さん、お父さんが「自分の遺伝子(卵子や精子)が悪かったんじゃないか…」と原因探しをして自責の念に駆られてしまうことも多いようです。

しょま君パパ
私自身もその気持ちを経験しましたし、そんな気持ちになってしまうことは理解できますが、ダウン症児を我が子に授かった皆さんには、どうか自分(やパートナー)を責めるようなことがないように…と願っています。

ダウン症の子どもの特徴は?

ダウン症とはどんなものなのか、という疑問にはここまでの内容でおわかりいただけたと思いますが、ここからはダウン症の子どもに表れる特徴について、書いていきたいと思います。

まずわかりやすい点でいうと、外見的な特徴です。
私は我が子がダウン症とわかり、詳しいことを調べて知るようになるまで、恥ずかしながら「ダウン症の子たちはみんな顔が一緒」だと思っていました。
そういった認識を持ってしまうくらいには、多くのダウン症児が特定の同じ特徴を持っていることは事実なのかもしれません。
ただ、以下にまとめていくすべての特徴が、すべてのダウン症児に当てはまるわけではありませんので、その点は昔の私のように勘違いしないようにご注意くださいね。

・目がつり上がっている
・目が離れている
・顔が平べったい(鼻が低い)
この3つに関しては、顔の中心部の骨の発達がゆっくりであるのに対して、顔の周囲の骨は通常の速度で発達していくからではないかという説があり、それが原因ではないかとされています。
我が家のダウン症児しょま君は現在まもなく3才になろうとしている年齢ですが、生まれつき目尻は下がった感じで、タレ目っぽい気がしています。
ただ最近少しだけ目尻が上がったような…
もしかすると今後の成長に伴って、目がつり上がっていくのかもしれないなと思いながら、成長にあわせた顔の変化を見守っているところです。

・皮膚が柔らかい(低緊張)
自らの身体を支える筋肉の張りが弱い状態のことを低緊張(筋緊張低下)と言います。
ダウン症の方は生まれつきこの低緊張の特徴をもっており、特にダウン症児は身体が柔らかすぎるくらいに柔らかいような印象があります。
ダウン症育児をされている親御さんのインスタなどを見てみるとわかりますが、ペタンと前屈した格好、Y字バランスのような格好の寝相で寝ている姿などを見かけたりします(笑)
身体が柔らかいこと自体は一見いいことのようにも感じるかもしれませんが、座る姿勢が保てずに姿勢が悪くなってしまったり、すばやい動作がとりづらかったり、良いことばかりではありません。
療育による訓練など、筋力を強くする運動を行うことで、低緊張の特徴は目立たなくなっていきます。

・舌(ベロ)が出やすい
ダウン症の子どもに対して、アインシュタインの写真のごとく、舌(ベロ)がべーっと出ている印象を持っている方も少なくないと思います。
前述した特性である「低緊張」によりベロを含む口まわりの筋肉(ベロもほぼ筋肉!)も張りが弱いため、口の中にしまっておけず、口の外にダランと出てしまうようなんです。

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ダウン症児のベロ出しについては、こちらの記事で詳しく書いています。

・二重まぶたが多い
・後頭部が扁平(絶壁)
傾向としてこのような特徴を持っているダウン症児が多いそうですが、子の身体的特徴は親に似るもので、ダウン症児もその例外ではありません。
一重の子、頭の形がきれいな子も多くいます。

・手足が短い
ダウン症の人は健常者に比べて、手足が短く平均身長も低いとされています。
食べ物を丸飲みしてしまうことが多いことを原因として、肥満の傾向が強いこともあり、小さくて丸っこい体型の方が多いような印象です。
個人差があるので、もちろん全員が全員というわけではありません。

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・耳の奇形(上の部分が折れ曲がっている)
これは多くのダウン症児に当てはまる特徴のように思います。
我が家のダウン症児しょま君も、生まれつき耳の上の部分が折れ曲がっています。

ダウン症児がかかりやすい病気(合併症)は?

ダウン症児は生まれつき病気を持っていることが多く、それらの合併症をキッカケにしてダウン症が判明するケースも少なくないとされています。
我が家のダウン症児しょま君も、妊娠期のスクリーニング検査で心臓に穴がある病気がわかり、そこからダウン症の疑いが浮上しました。

ダウン症児がかかりやすい病気(合併症)について、以下にまとめてみたいと思います。

◎心臓疾患
心室中隔欠損症・心房中隔欠損症(房室中隔欠損症/心内膜欠損症)といった、心臓の中の壁に穴が空いている病気です。
自然に穴が塞がるようなケースもあれば、自然治癒が見込まれない場合は開胸手術をして外科的に治す必要があるケースもあります。
また、唇や皮膚が紫色になってしまうチアノーゼを伴うファロー四徴症という心疾患も、ダウン症児の5%に見られるとされています。

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◎呼吸器疾患
気管支炎や肺炎などの呼吸器疾患は、風邪から移行することが多い病気ですが、心疾患などの合併症を持っていることが理由となり、ただの風邪症状だと思いきや、重症化して入院が必要になるケースがダウン症児では少なくありません。
特に乳児期のダウン症児の死因の上位を呼吸器疾患が占めているとされているほどです。

◎頸椎異常
ダウン症では、首の構造に弱さを持つ子どもも一定数います。
首の骨は頸椎が積み重なったつくりになっていますが、その頸椎が前方へ脱臼してしまうことがダウン症児に多いとされています。
3才を迎える頃から就学前の時期には、一度頸部のレントゲン検査を受けておくように医師から勧められることが多いようです。
こういった特性により、ダウン症児がでんぐり返りをしても大丈夫か、という判断は慎重にした方がよいとされるケースもあります。

しょま君パパ
ダウン症児は視覚優位性により真似っ子が得意な子が多いので、年上のきょうだい児がいるご家庭では注意が必要かもしれません。

◎消化器系疾患
心臓疾患の次に多い合併症として、この内臓の併発病があります。
ダウン症児の3〜8%に現れるとされています。
これらの例としては、十二指腸閉鎖、鎖肛、ヒルシュスプルング病などがあり、このような疾患がある場合は生まれてすぐに手術が必要になります。
また、合併症がない場合においても、先述の低緊張の特性もありお腹の筋力が弱いことを理由として便秘がちになるダウン症児は多いです。
便が出やすくなるために酸化マグネシウム等の薬が処方されたり、浣腸を使用したりする場合があります。

◎皮膚疾患
他の合併症に比べれば命に関わるようなものではないですが、ダウン症児は皮膚トラブルが多いとされています。
冬の時期には手足の末端が真っ青になることもあり、血液の巡りが悪いせいか手足がすぐに冷え切って冷たくなってしまいます。
また、肌が乾燥しやすい傾向にあり、冬の時期はほっぺたがカサカサして赤くなったり、唇がひび割れしたりする子も多いようです。

しょま君パパ
我が家のダウン症児しょま君も、乳児期は特に、ほっぺカサカサ・唇ひび割れ・手足ヒエヒエの3拍子揃っていました。

◎眼科疾患
目の病気についても、ダウン症児の合併症の代表例として挙げられることが多いです。
ダウン症児の数%に先天性白内障が見られるため、生後6ヶ月までのうちにその検査が行われる必要があります。
また、斜視検査も12才までに行う必要があるようです。さらに、眼振が出るダウン症児も少なくないと言われています。
見え方の部分においては、乱視を伴った近視・遠視になるケースがダウン症児には多いとされています。
ダウン症の方にはメガネをかけている方が多い印象ですが、こういった特徴があるためなんですね。

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◎聴力障害
疾患の有無に関わらず、聴力自体が身体の発達と並行して伸びていくものなので、健常児と比べてダウン症児の聴力の発達は遅れる傾向にあります。
さらに、ダウン症児は難聴の症状が出ることが多いとされています。
難聴はおもに伝音難聴と感音難聴に分けられますが、ダウン症児に出る難聴の過半数が伝音難聴であり、早期治療による回復が見込めるとされています。

◎歯科疾患
定型発達児の半分ほどの発達スピードで成長するダウン症児は、歯の生え始めも1才を過ぎた頃からになることが多く、乳歯が生え揃うのも4〜5才頃とされています。
また、学齢期を通して、徐々に乳歯→永久歯への生え変わりが進みます。
ただ、歯並びが悪かったり、先天的に歯の欠損があったりと、ダウン症児は歯に関して問題が生じることが少なくありません。

しょま君パパ
ちなみにダウン症児の歯科矯正は保険適応で行えるそうです。

また、心疾患を合併症として持っているダウン症児の歯科治療の中で、抜歯や歯周治療が原因となり感染性(細菌性)心内膜炎という病気を引き起こしてしまうこともあります。
健常児以上に虫歯予防に気を配り、毎日の歯磨きを基本として、予防目的の定期的な歯科検診を受けることも大切になりますね。

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◎てんかん
乳幼児期のダウン症児には、ウエスト症候群と呼ばれる特徴的なてんかん発作が起こる可能性があります。
多くの場合、養育者が子どもの不自然な動作に気付き、医療機関で相談することで発見されるようです。
このウエスト症候群は生後4ヶ月〜1才前半くらいに発症時期が集中しているそうです。
発作の典型的な例としては、頭がガクッと前に垂れ、両腕が振り上がり、股関節とひざ関節を曲げるような動きが数秒間隔で繰り返される動作があります。
また、ビクッと身体を硬直させるような一瞬の発作を、10数秒程度ごとに繰り返すような動作が現れることもあるようです。
早期治療により発作が起こりにくくなるようにできるようなので、疑わしいときにはすぐに医療機関で相談しましょう。

◎その他
ダウン症児に多く発症する病気のひとつに、白血病があります。
実際に、我が家のダウン症児しょま君も、2才になったばかりの頃に白血病と診断され、入院治療が必要となりました。
半年弱ほどの治療を経て、現在は寛解し(正常な状態に落ち着き)、今は再発などの兆候がみられないか確認のための定期受診でフォローしてもらっています。

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さいごに

いかがだったでしょうか。

3年間ダウン症児の親としてさまざまな不安を抱えながら、都度乗り越えてきている今までの経験を振り返ってみると、不安が大きければ大きいほどそれが「無知(=知らないこと)」が原因であることが多かったように思います。
先の見通しが立たない、説明された内容がわからない、どこに(誰に)聞けばいいかわからない。

そんなときにいろんな情報を教えてくれて、いろんな道筋を示してくれて、いろんな希望を与えてくださったのが、一歩先を行くダウン症育児をされている方が発信するブログやインスタ、YouTubeでした。
いろんな方が発信する情報に心が救われたり、助けられたりしてきました。

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このブログにたどり着いてくださった方の中には、知らないことを誰に聞いていいものか思い悩んで、とにかくたくさん調べ漁っている検索魔になってしまっている方もいるかもしれません。
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